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生前のうちに贈与する「生前相続」とは

希望通りの財産分与を行う生前相続

被相続人の死後、故人が遺言書等で指定をしていなければ、原則法律に従って遺産相続が行われます。
いわゆる「法定相続」ですが、民法によって定められ、相続人が複数いる場合には、取り分について細かく決められています。
例えば、配偶者と子がいる場合には、配偶者が財産の2分の1、子が2分の1となりますが、子が複数いる場合にはその2分の1の財産を人数で割ることになります。

しかしながら、自分の死後、思い通りの財産分与をしたければ、「生前相続」という方法をとることができます。
「生前相続」とは、相続時精算課税制度等を使って相続財産となる予定の資産を生前のうちに贈与することですが、実は法律用語ではありません。

「相続」とは被相続人の死後に行う行為ですので、生前に相続を行うという考え方が存在しない為です。
ただし、贈与税が非課税になる「相続時精算課税制度」の制定により、生前相続という言葉が認知されるようになってきました。

相続時精算課税制度を理解しよう

2500万円までの財産を非課税で「贈与」することができる制度を「相続時精算課税制度」と言います。
贈与とは、無償で財産を譲渡すること意味していますが、1年間に110万円を超える贈与には、原則として贈与税の納付が必要となります。
ただし、相続時精算課税制度を利用した場合、2500万円まで課税対象になることなく贈与が可能となります。

その後、被相続人が亡くなり、相続をする事になった時に、贈与された財産も相続財産とみなされ、相続税の課税対象となります。
言い換えれば、この制度を選択すると、贈与の段階で非課税の財産が、相続時に精算される形となるのです。

相続時精算課税制度の利用条件

相続時精算課税制度は、ある一定の直系親族に認められた贈与に利用できるものです。
利用条件は、贈与者が65歳以上の親であること、贈与を受ける者は贈与者の20歳以上の子で推定相続人であることを満たしている必要があります。
2500万円が贈与の限度額となりますが、贈与財産の種類や金額、贈与階数には制限は設けられていません。

注意点として、相続時精算課税制度を選択すると、もう1つの贈与税課税方式である暦年贈与に変更できないことです。
つまり、暦年課税の基礎控除額である110万円の控除は不可となります。
さらに、税務署への申告が必要となることを認識しておきましょう。

相続時精算課税制度とは、相続税の節税対策の方法ではありませんが、スムーズに多額の財産を移動させたり、将来高値になる財産や収益物件の贈与の場合は相続税対策に繋がります。
子供が住宅を建てる際の親から資金を援助するようなケースにもお勧めです。